教授挨拶

【病原体を正しく知り、正しくおそれる】

２０１９年末に端を発した新型コロナウイルス感染症（COVID-19）パンデミックに人類が直面したことにより、「ウイルス感染症　＝　人類を脅かす怖いもの」という印象が広がりました。しかしウイルスを怖いものとして恐れおののくだけでよいのでしょうか？

ウイルスの生存は、感染した生物集団における効率的な増殖と伝播に依存しています。そして、ウイルスを異物と認識し排除する免疫反応から逃れ、生物との共存を図ることがウイルス生存戦略の要となります。このことは、病原体と生物がせめぎあう“場”には、多数の生物学的に重要な事象が含まれていることを示しています。

ウイルスの生存理由を知ることは、ウイルスの特徴を正しく知り、適切に対処（共存）する方策を講じることが可能となります。私たちは、ウイルス病原体基礎学術研究をより効果的かつ多角的に実施することで、感染症に強い社会への貢献を目指します。

大学院医歯学総合研究科　ハイリスク感染症研究マネジメント学分野　教授 
東京科学大学　感染症センター（TCIDEA）　副センター長 
統合研究機構　リサーチコアセンター　BSL3ユニット　ユニット長 
武内　寛明